2020年11月22日

 

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

小学生時代、私にはとても苦手な分野がありました。それは文章を「書く」ことと人前で「話す」ことです。特に作文の時間は苦しかった覚えがあります。自分の考えていることを文章にして人前で発表するのが大の苦手でした。絵日記も、その日の天気しか書かなくて叱られた覚えがあります。

 

そんな私にも好きなことがありました。「聞く」ことと「読む」ことです。学校では授業中に、ほとんど居眠りしなかったのを覚えています。教会でも日曜学校のあと、大人の礼拝に出席していましたが、そんなに退屈だとは思いませんでした。もちろん礼拝後には、かなりのわんぱく坊主でしたが説教は楽しみでした。小学校の低学年のころだと思いますが、比較的分厚い韓国版の『少年少女世界文学全集』60巻を夏休みに読破した覚えがあります。苦手な「書く」と「話す」の代わりに、好きな「聞く」と「読む」に集中したのかもしれません。

 

そんな私が牧師になってから「書く」ことと「話す」ことが日常になりました。上手になったかどうかは分かりませんが、少なくとも窮屈ではなくなりました。「牧師室より」は毎回楽しく書いています。本当に不思議だと思います。小学生の時の先生方が今の私を見たら、本当に驚くでしょう。

 

人には誰でも苦手なことがあります。しかし今できないことがあっても、これからもずっとできないと決めつけてはいけないと学びました。イエス様の弟子の中で特に私たちの目を引く人物がいます。使徒ペトロです。彼は弟子の中でも特に失敗の多い人でした。福音書を見るとイエス様は、そんなペトロを何度も「今はできないがあとになればできる」と励ましておられます。そしてついにペトロはイエス様が歩んだ十字架の道を悟り、自分も十字架の道を選び歩みました。その歩みの中でペトロはできないことに気をとらわれて失望するより、できることに集中したことでしょう。当時のペトロにとって一番よくできることは主を愛することでした。ペトロは主を愛していたから、そのできることに集中して、十字架の道を喜んで歩むことができたのでしょう。

 

イエスは答えて、「わたしのしていることは、今あなたには分かるまいが、後で、分かるようになる」と言われた。(ヨハネによる福音書13:7)

 

シモン・ペトロがイエスに言った。「主よ、どこへ行かれるのですか。」イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。(ヨハネによる福音書13:36)

 

在主

林 尚俊

 

牧師室より トップ