2021年06月06日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

今、私たちの教会では「新共同訳聖書」を使っています。しかし他にもいくつかの日本語訳の聖書があります。教団以外の多くの教会で用いられている「新改訳聖書」や最近新しく訳されてこれから教団の聖書として使われる予定である「聖書協会共同訳聖書」などがその代表的な例です。私は説教原稿を書く時、4種類の言語の聖書「韓国語、日本語、英語、ギリシャ語(ヘブライ語)」と3種類の日本語訳聖書「新共同訳、新改訳、聖書協会共同訳」を開いて比べます。このようにさまざまな訳の聖書を比べる理由は、それぞれの訳の元になった写本の違いによって、省略されたり付け加えられたりする部分があるからです。み言葉の本来の意味を見逃さないためにそうしています。時にはそれらの訳を全部まとめて並べてみないと真の意味が分からない場合もあるので、説教を準備する時にさまざまな訳の聖書を比べることはとても大切だと思っています。

 

そんな中で今日はヘブライ人への手紙 11:38の「世は彼らにふさわしくなかったのです」という部分を紹介したいと思います。この文章は文法的には難しくありませんが、訳によって少しずつニュアンスが異なります。英語の聖書では「この世は彼らにとって価値がない(適切でない)」と訳され、韓国語では「この世は彼らのことが手に負えない」と訳されています。これらをまとめると「彼らはこの世の枠に収めきれない」という意味になるでしょう。するとよりギリシャ語に近い意味になります。さらに前後の箇所と一緒に見ると、その意味がより鮮明になります。キリスト者は苦しめられ殺されそうになっても、またすでに約束されていたはずの物が結局手に入らなくても、自分たちの信仰を貫いているので、この世の人々の価値観から見ると異次元の存在であるという意味です。そしてこの姿こそが私たちキリスト者の本当の強さであるとこの箇所は教えています。

 

皆さん。今週から解除される予定だった緊急事態宣言がさらに延長されました。ということは合わせて約2か月間も御堂に集うことができなくなっているということです。本当にがっかりです。しかしこういう時こそ、私たちは信仰者の強みを持ってこの困難を乗り越えましょう。たとえ今すぐ約束された物が手に入ることがなくても、「神は、わたしたちのために、更にまさったものを計画してくださった」ことを信じているので、私たちはすでに勝利者です。

 

『彼らは石で打ち殺され、のこぎりで引かれ、剣で切り殺され、羊の皮や山羊の皮を着て放浪し、暮らしに事欠き、苦しめられ、虐待され、荒れ野、山、岩穴、地の割れ目をさまよい歩きました。世は彼らにふさわしくなかったのです。ところで、この人たちはすべて、その信仰のゆえに神に認められながらも、約束されたものを手に入れませんでした。神は、わたしたちのために、更にまさったものを計画してくださったので、わたしたちを除いては、彼らは完全な状態に達しなかったのです』

(ヘブライ人への手紙 11:37~40)

 

在主 林 尚俊

 

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