2021年08月01日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

私は牧師になる前、韓国の教会で約2年間、伝道師として奉仕をさせていただいたことがあります。中高科と青年部を担当していました。その教会は大人の会員だけで300人くらい出席していて韓国の教会のわりには比較的小さな規模の教会でした。それでも夏になるとキャンプで教会全体が大忙しです。大人の会員のためのキャンプをはじめ、幼稚科、小学科、中高科、青年部の順にキャンプが終わると、ひと夏が終わります。しかも中高科はキャンプが二回もありました。一回目は自分たちのためのキャンプで、二回目はキリスト教系の障がい者施設の夏季キャンプの奉仕です。中高生たちは、このキャンプの時に一人ずつ障がいを持っている方に付き添って3泊4日間共に過ごします。中には体が不自由な方も、知的障がいを持っている方もいらっしゃいました。奉仕者たちは、その方々の食事はもちろん着替えやお風呂、トイレまで手伝いました。

 

3泊4日間、楽しい時間を共に過ごしましたが、中でもいまだに記憶に残っているプログラムがあります。それは最後の夜の楽しいゲームの時間です。風船割りゲームをしました。ルールは極めてシンプルです。敵と味方のチームに分かれ、互いの足首に結ばれた風船を割るというゲームです。風船が多く残ったチームの勝ちでした。初めに奉仕者たちが二つに分かれて見本を見せてから、次は参加者たちの番です。それぞれのハンディキャップに合わせてていろいろ工夫して風船を付けましたが、知的障がいを持っている参加者は奉仕者と二人一組になりました。奉仕者の足首に風船を付け、敵チームの参加者がその風船を割るという形にしたのです。ケガ防止のためと風船を割りやすくさせるための工夫でした。

 

しかし、ある一人の参加者がペアになった奉仕者の風船を一生懸命取ろうとしていました。初めは彼女がルールを理解していないのだと思って、もう一度丁寧に説明しました。でもいざゲームが始まると、またペアの奉仕者の足首に付いている風船を取ろうとします。司会者は仕方なく好きにさせました。そして皆で静かにその光景を見守っていました。するとペアの風船を取った参加者は、その風船を敵チームの参加者にそのまま渡してしまったのです。すると敵チームの参加者は、本当に嬉しそうにその風船を割らずに受け取って喜びました。後からわかったのですが、二人は普段から大の仲よしの友達だったのです。その夜の勝利者はその二人でした。何事にも競争することに慣れていた私たちは、その夜、聖書の教えをそのまま純粋に実践した二人の姿を見て、多くのことを学びました。奉仕のために参加したつもりでしたが、逆にいろいろと教えてもらう時間でした。

 

人々に、次のことを思い起こさせなさい。……だれをもそしらず、争いを好まず、寛容で、すべての人に心から優しく接しなければならないことを。 わたしたち自身もかつては、無分別で、不従順で、道に迷い、種々の情欲と快楽のとりことなり、悪意とねたみを抱いて暮らし、忌み嫌われ、憎み合っていたのです。

(テトスへの手紙 3:1~3)                 

 

在主 林 尚俊 

 

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