2021年12月05日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

秋が深まりテレビのニュースや旅番組では、秋の美しい風景を競うように紹介しています。私たちも短い秋を楽しむために、久しぶりに「月曜旅」を計画しました。旅の条件として日帰りであることと、秋の美しい自然を満喫できること、また人混みを避けられることでした。いつもお世話になっているグーグルさんの力を借りて調べた結果、今の時期に見られるという雲海を見に行くことにしました。目的地は車で約1時間の距離にある京都亀岡の「霧のテラス」という、知る人ぞ知る穴場です。しかし雲海を見るためにはいろいろな条件がそろわないといけません。まず湿度が高く十分な放射冷却があること、そしてよく晴れていること、また前日の日中と当日の早朝の気温の差が10°以上であること、最後に風がないこと。これら4つの条件が揃わないと、いくら有名な雲海スポットでも雲海は見られません。そこで早速その条件に合うかどうか調べると、次の月曜日がこれ以上ないパーフェクトな日という結論になりました。

 

雲海が見られる時間は明け方から午前8時くらいですので、妻は月曜の朝5時40分にアラームを合わせました。準備は万端です。しかし目が覚めたら6時半。「どうしよう!」と妻は大慌てです。妻によると二重にセットしたアラームが全く聞こえなかったそうです。慌てて準備をして出発したものの、日はすでに昇りきっていました。しかも通勤時間に重なり、思ったより道が混んでいます。どう考えても雲海を見ることは難しくなりました。妻は助手席で心なしかしょんぼりしています。それでもとりあえず目的地を目指しました。

 

高速に乗って行く道は、雲海どころかいわゆる典型的な雲一つない秋晴れです。「雲海は諦めるしかないな」。そう思って車を走らせていると、遠くに工場の煙突が見えました。細く煙が出ていたのですが、それが空に向かってまっすぐのぼっています。それを見て思いました。「もしかしたら見られるかも」。風がほとんどないないということだからです。まっすぐのぼる煙に一縷の望みを託し、車を走らせました。

 

目的地の手前に長いトンネルがありました。その長いトンネルを抜けると、そこは雪国ならぬ、霧の国。目の前が見えないほどの霧です。「これは絶対にいける!」希望はいつの間にか確信に変わりました。くねくねの山道を走ること10分、いよいよ展望台に着いた私たちは思わず歓声を上げました。見渡すかぎり雲の海の雄大なパノラマが、どこまでも広がっていたのです。遠くに見える山々の頂は、まるで海に浮かんでいる小さな島々に見えます。妻は「雲海って初めて! こんな風景は生まれて初めて!」と言いながらスマホのシャッターを押し続けました。これでミッションコンプリート! ホッとした私は、妻が朝、慌てながらも水筒に入れてくれた美味しいコーヒーを飲みながら、ふとこう思いました。寝坊した妻に文句を言わなくてよかった!

 

天よ、露を滴らせよ。雲よ、正義を注げ。地が開いて、救いが実を結ぶように。恵みの御業が共に芽生えるように。わたしは主、それを創造する。(イザヤ書 45:8)

 

在主 林 尚俊 

 

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