2022年02月06日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

皆さんもご存じのように私は宣教師として韓国の教会から教団に派遣され、また教団の牧師として森小路教会に招聘されました。すなわち私は「宣教師」です。神学生の時から日本宣教という明確な目標がありましたので、神学校の授業の中でも宣教学という科目に特に情熱を注いだ覚えがあります。その宣教学の授業で「未伝道部族」という言葉をしばしば耳にしました。人口比クリスチャンの割合が3%未満の国や部族のことです。3%という数値は、自国民を自力で宣教していけるのか、あるいは依然として外部からの援助なしでは宣教が前進しないのか、分水嶺的な意味合いを持っています。つまりクリスチャンの比率が3%を越えれば、何とか自力で社会に福音を伝えることができるという意味です。ちなみに日本は現在0.3%のクリスチャン人口で、7000の教会があると言われています。そして教会が建てられていない市町村が550以上もあります。すなわち宣教学的な見地から見ると日本も「未伝道部族」に分類される「宣教地」なのです。そのため教団には、現在、私を含め約65名の宣教師が、教会や学校など様々な領域で使命を担っています。

 

人口比クリスチャンの割合をいわゆる「福音化率」とも表現しますが、今回は世界一の福音化率を持つ地域を紹介したいと思います。それは韓国の南の全羅南道にある新安郡(シンアングン)という約1000個の島で構成された地域です。新安郡の福音化率は約40%と言われていますが、中でも曽島(ジュンド)という人口2200人、930世帯が住んでいる小さな島の福音化率は、なんと90%以上だと言われています。つまり10人のうち9人が毎週教会に出席しているのです。その島には、教会が11か所もあり、名実ともに世界一の福音化率を誇っています。  

 

曽島が福音化されたのは、この地域の伝道を担っていた一人の女性の伝道者の働きの実りであると言われています。彼女の名前は文俊卿(ムン・ジュンギョン)です。神学校を卒業したばかりの彼女は、女性には牧師按手を授けないという保守的な教団に属していたため、伝道師として20歳から52歳に殉教する直前まで、新安郡の小さな島と島の間を小舟で行き来しながら福音を伝え、約100か所の教会を開拓したそうです。それらの教会から多くの青年が献身し牧師や宣教師になって韓国や世界の教会で大事な伝道者として活躍しており、曽島には彼女の記念館があります。

 

実は彼女の働きによって私の信仰のルーツも始まりました。私の母方の祖母は、新安郡の一つの小さな島の出身で、文伝道師から福音を聞いて受洗したのです。やがて祖母は何人かの仲間とソウルに移住し、教会開拓のメンバーに加わりました。現在その教会は、聖日に出席者が約5万人の教会に成長しました。そしてその信仰を私の母が受け継ぎ、そして私にまで継承されました。そして今、この日本の森小路教会で、そんな私が福音伝道の働きを担っています。考えれば考えるほど不思議です。一人の尊い働きによって多くの実が結ばれたのです。そしてその信仰は、この森小路教会を通して、さらに継承されていくと私は信じています。

 

御言葉を宣べ伝えなさい。折が良くても悪くても励みなさい。とがめ、戒め、励ましなさい。忍耐強く、十分に教えるのです。

(テモテへの手紙二 4:1~2) 

 

在主 林 尚俊 

 

牧師室より トップ