2022年04月24日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

先日NHKのニュースで、とても面白い本が紹介されていました。新年度になって進学や就職のため初めて関西に住むようになった人々の役に立つかもしれない本です。タイトルは『キュッと曲がって90°!:関西のオノマトペ用例集』です。私はニュースが終わる前に妻に頼んで、早速、中古本をネットで買ってもらいました。

 

「オノマトペ」とは皆さんもご存じのように「ボチボチ」や「かつかつ」、また「シャン」など、いろいろな物の音や人、動物の声、あるいは物事の状態や様子などを感覚的に言い表す言葉のことですね。外国人である私にとってその意味を把握するのはちょっと難しいのですが、とても興味深く面白い表現がたくさんあります。もちろん韓国語や英語などににも似たような表現がありますが、日本語ほど豊富ではありません。言語学的に日本語は形容詞が少ないので、自然と擬音語や擬態語、擬声語が発達したため、たくさんのオノマトペが生まれたそうです。しかも全国でほぼ標準語のように使われている多くのオノマトペが、関西から生まれたということが分かりました。微妙な事柄を何とか伝えたい、しかもできるだけ面白く表現したいという関西人の性格が多くのオノマトペを生み出したようです。つまるところこれは「関西人の強いコミュニケーション能力の集大成のようなもんや!」と思いました。

 

そんな中で本当に面白かったのは、タイトルにもあるように「キュッと曲がる」というのは90°、つまり直角に曲がることを意味するということでした。しかもそれだけではなく、いろいろな角度に曲がることを、すべてオノマトペで表現できると知って、ホンマに感動しました。ちなみに「シュッと」が斜め30度で、「グッと」は斜め45度、そして「チュイッと」、「クイッと」、「クリッと」は大きく120°曲がる時に使うとのことでした。もちろんその感覚は個人や同じ関西でも地域よって少し違うと思いまが、聞けば何となくその違いがわかると思います。

 

このようにオノマトペが関西で発達するようになったのは、関西ならではの独特な「おもろい」と言う価値観があったからこそ可能になったことだと著者は言っています。「おもろい」の中には、美しい、ためになる、高価であるという概念も含まれているとのことでした。まだまだこの「おもろい」と言う言葉の深い意味はピンと来ていないので、これから注意深く千林商店街の皆さんの会話に耳を傾けて聞き慣れたらいいなと思っています。そしてそのうち「パッとしてシュッとしたら、ピャッとなってキュッと」できるような「シャン」とした関西のおっちゃんになりたいです。人の口を通して語られる言葉によって、その人のアイデンティティが決まるからです。

 

口でイエスは主であると公に言い表し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われるからです。(ローマの信徒への手紙 10 :9)

 

在主 林 尚俊

 

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