2022年05月15日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

近くに公園があるということが、どれほど素晴らしいことなのかしみじみ思います。歩いて行くには少し遠いですが、牧師館から車で10分ほど行けば鶴見緑地という素晴らしい公園があります。そんなに頻繁には行けませんが、季節ごとにさまざまな花を見ることができるので、私たち夫婦が森小路教会に着任した年から時々行っています。とりわけ5月にはバラが咲き始めます。植物園では「大阪ばら祭」が5月13日の金曜日から開催されるようですが、バラ園のバラはもう咲いていると思い、一足早く月曜日に行ってきました。

 

曇り空で思ったよりひんやりしていましたが、こういう日のほうが人が少ないと判断して、お昼を食べてから出発しました。案の定、駐車場はガラガラでした。月曜日は植物園も定休日のようです。車を止めて自販機でアイスを買って食べながら歩くこと約10分、バラ園のある丘に到着しました。予想した通りにバラの花はちゃんと咲いていて、人も少なかったのですが、本格的な時期に備えて整備作業をしていて、遠くからは見えますが近くまで入ってバラを見ることができない区域が一部ありました。しかし作業をしていない区域では存分に美しいバラを香りと共に満喫することができました。

 

小高い丘の上には数えきれないほどたくさんの種類のバラが咲き誇っていました。海外の品種のバラも多かったのですが、案外日本の品種も多くてびっくりしました。中には花の特徴を表すかのような面白い名前の花もありました。例えば「薫乃(かおるの)」という名前のバラは、本当に濃い香りを放っていました。「イングリッド・バーグマン」という名前のバラは、女優さんのような美しさをアピールしていました。戦後1945年にフランスから送られてきた「ピース(平和)」という意味深い名前のバラの花もありました。後から調べると、全世界には2500以上のバラの品種があるそうです。

 

私はバラについてそんなに詳しくはありませんが、とにかくバラが大好きです。それには理由があります。軍隊を除隊したのが、ちょうどバラの花が咲く5月だったのです。バラの花が満開になる頃に除隊することになっていました。当時、除隊の日が近づいてきて待ち遠しくなった私は、ある特別な任務を後輩に与えました。ちょうど正門の入り口付近にバラの花が植えられていたので、毎朝、起床したらすぐ正門まで走って行き、バラの花が咲いたかどうかを確認して報告する「バラ確認任務」です。「〇〇二等兵! 報告いたします! 4月〇〇日現在、残念ながらまだバラは咲いていませんでした!」という報告を毎朝聞くことから日課が始まっていたのです。そんなある日の朝。「〇〇二等兵! 報告いたします! 5月〇〇日現在、一輪のバラの花が咲きました! おめでとうございます!」という報告を受けました。それから約二週間後、待ちに待った除隊の日を迎えた私は、美しく香りを放っているバラの花道を通って家に帰りました。もちろんその後の人生がいつもバラ色だったわけではありませんが、今でもバラの花の香りを嗅ぐと、その日の幸せな記憶がよみがえります。だからバラの花が大好きなのです。

 

なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。(マタイによる福音書6 :28~29)

 

在主 林 尚俊

 

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