2022年06月12日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

結婚する前、妻はカッコいいステーションワゴンを自分で運転していました。私の中にある結婚前の妻のイメージは運転がうまい都会の女性で、デートの時にも妻が運転をしていました。しかしある時点から自然と私が運転するようになり、結婚後も当たり前のようにハンドルを握るのは私になりました。すると自然と妻が運転する機会は減り、16年経った今、妻はほぼペーパードライバーの状態になってしまいました。

 

ある日ふと、急なもしもの時に備えて、私だけではなく妻も運転できるようにしておかなきゃと思いました。教会に新しく車が与えられたので、それが届く前に運転の練習をしておいた方がいいと思い、さっそく大阪で安全に運転練習ができる場所をネットで調べると舞洲が一番いいということです。そこで私たちは休みの日に舞洲に向かいました。出発前から妻の顔には緊張感が漂っています。計算してみると公道での運転はほぼ8年ぶりなので、緊張するのは当たり前でしょう。そんな妻を安心させながら私は車を走らせ、いよいよ現場に到着しました。

 

まず運転手を交換するために近くのコンビニに車を止めました。妻が運転席に座ると、私は車について簡単に説明し、いざ出発! 妻がおそるおそるゆっくりとアクセルを踏むと、車が前に動きました。コンビニの駐車場から出て右に曲がるとすぐに、緊張のあまり真っ青で硬い表情だった妻の顔が一瞬にして笑顔になりました。「あれ? こんなもん? 全然大丈夫だね」なんて、すぐに偉そうなことを言いだしたのです。それは体内のアドレナリンの過剰分泌による一時的な錯覚現象であることを私は知っていたので、妻の言葉にだまされず集中するよう指示を出しました。すると妻は再びちょっと緊張した顔になり、前もって決めていたコースを何回か回りました。予定していた回数を完走したあと、すごく上手だったので家に帰る道にも挑戦してみることにしました。大阪の梅田を貫通しないといけないので難易度は高かったものの、思った以上に何の問題もなく市内を走っていきました。

 

運転の実力は全然大丈夫だったのですが、本当の問題は、やはり方向音痴でした。ナビを設定したにもかかわらず妻はそれを見ることもなく、何度も同じ質問をするのです。「まっすぐでいいの? この車線でいいの?」冗談抜きで100回は聞かれました。それに対して私は辛抱強く、そのつど丁寧に答えていましたが、最後の最後に家の近くのいつも妻が自転車で一人で通っている道に来て、また同じ質問をされたのです。「いつ曲がるの? 右? 左?」そこで私はつい「ええかげんにせえ。いつもの道やろ」と言ってしまいました。せっかく頑張ったのに、その達成感と喜びはすべて台なしです。それから車を止めて私は教会に来てこの手紙を書いています。ものすごく反省していますが、どう謝ればいいか分かりませんので、帰りにお花でも買って帰ろうと思っています。

 

主に自らをゆだねよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。あなたの道を主にまかせよ。信頼せよ、主は計らい あなたの正しさを光のようにあなたのための裁きを真昼の光のように輝かせてくださる。(詩編 37:4~6 )

 

在主 林 尚俊

 

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