2022年07月17日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

皆さん、「ニューノーマル(New normal)」と言う言葉を聞いたことありますか。直訳すると「新しい通常・正常・平常」という意味になります。これまでの「当たり前」が大転換を迎え、新しい「当たり前」が成り立っていく状態です。もともとはビジネスや経済について使われるようになった言葉で、「新常態」などとも訳されます。新型コロナウイルス感染症が発生してから、特にピーク時より少しずつ状況が落ち着いてきた今、「新しい日常」、「新しい生活様式」といった意味としてこの言葉が使われるようになりました。コロナ感染によるパンデミックが始まってから3年になる今、私たちはまさに「ニューノーマルの時代」を切り開くスタート地点に立っているのかもしれません。しかし「新常態の時代」を生きるからと言って、以前のすべてのことを完全に捨てるわけではありません。まずは長い間放置され、壊されてしまった部分を立て直すことから始めないといけないでしょう。そのためには忍耐が必要になります。一日にして立て直すことは、まず不可能だからです。

 

ルネサンス時代の有名な芸術家ミケランジェロが、バチカンのシスティーナ礼拝堂の天井に創世記1章の内容を土台にして描いた『天地創造』と言う作品があります。この作品は壮大な規模で1508年に描き始められ、4年後である1512年に完成されました。今日でも彼の最高傑作として世界的に評価されている作品です。しかしこの『天地創造』は天井に描かれていたため、長い時間をかけてロウソクによる煙やほこりなどが付着し、本来の鮮やかな色が失われてしまいました。完成から約100年後には最初の姿はなくなり、完成当初の絵を覚えている人は一人もいない状態になったのです。

 

そしてついに1981年に大規模な修復作業が始められました。本来の色を損なうことのないように特殊な溶液を使って、約500年かけて絵に付着した汚れやほこりを丁寧に取り除く作業が始められたそうです。気の遠くなるような作業をなんと8年も続けた結果、1989年にほぼ元通りの状態に修復されたそうです。私は2002年にシスティーナ礼拝堂を訪れたことがありますが、その時見た絵は500年前に描かれたものとは思えないほど色鮮やかで美しかったのを覚えています。よく考えてみると、最初に絵を描いた期間の約2倍の時間をかけて修復したことになります。

 

私たち教会もニューノーマル時代の礼拝や信仰生活について考えるべき時期になってきたと思います。最近、森小路教会も、少しずつですがコロナ以前の状態を回復するために、さまざまな集会や行事などの再開を試み始めました。中でも一番大きなダメージを受けた日曜学校は、年間行事の中で一番重要な伝道のチャンスであるサマーキャンプを、3年ぶりにデイキャンプとして再開しようと計画しています。もちろん今はまた感染者数が少しずつ増えてきている状況ですが、まずはしっかりと計画を立てるところから始めています。この大事な行事が無事に再開するためには皆さんのお祈りと協力が欠かせません。

 

これを知り、目覚めよ。エルサレム復興と再建についての御言葉が出されてから油注がれた君の到来まで七週あり、また、六十二週あって危機のうちに広場と堀は再建される。

(ダニエル9:25)

 

在主 林 尚俊

 

牧師室より トップ