2022年08月14日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

先日、久しぶりに妻とドライブに行ってきました。大阪から少し離れた郊外だと月曜日にはどこも空いているため、人混みを気にすることなく、むしろゆっくり楽しむことができます。目的地は兵庫県の丹波篠山市です。実は丹波焼についてテレビなどを通して歴史の話を聞いたこともあり、以前からずっと気になっていたのです。

 

丹波焼は立杭焼とも言われ、瀬戸、常滑、信楽、備前、越前とともに日本六古窯の一つに数えられる焼き物です。1611年ごろ朝鮮時代の韓国から伝わった登り窯が導入され、その伝統技術が今日まで受け継がれているそうです。丹波地域の焼き物の歴史は長く、登り窯が導入される前から存在していて中国から伝わった古代方式を使っていたそうです。登り窯は山麓の傾斜地に長いトンネルのような窯を作り1300度以上の高温で長く焼くため熱の効率がいいそうです。これにより丈夫でしかも美しい色の器を大量生産することが可能になりました。そのためこの地域に登り窯が一気に広がり、これが丹波焼の一番の特徴になっているそうです。県有形民俗文化財になっている丹波焼最古の登り窯が今もそのまま残っていて、長さは約47メートル。しかもまだまだ現役で使われているそうです。

 

丹波焼のもう一つの特徴は釉(くすり)掛けの方法です。いくつかある丹波焼の釉掛けの中で私が注目したのは粉引(こひき)という方法です。これは登り窯と同時に韓国から日本に伝わったもので、韓国の代表的な陶器である粉青沙器から由来したそうです。「粉を引いた(吹いた)ように白い」ことから「粉引」と呼ばれているそうです。以前は白い器がほとんどでしたが、最近ではさまざまな色が表現されているそうです。また丹波焼で用いられるろくろは左回りなのが特徴だそうです。それを知った時、私はなんだかうれしくなりました。韓国のろくろも左回りなのです。

 

このような韓国との歴史的なつながりもあったので、妻には歴史巡りのドライブだと伝えていました。しかし本当の狙いは丹波焼の中でも粉引の茶碗(飯碗)を購入することでした。壮大な歴史を知ってしまったので、どうしても欲しくなったのです。いろいろと調べて代表的な粉引の窯元と最古の登り窯を見学したあと、最後に「丹波焼の里」という地域の展示販売施設に行き、いろいろな窯元の器を見比べながら飯碗を物色しました。いつも食器などは妻が選ぶのですが、これだけは自分に選ばせてくれとお願いし、妻とは別にぶらぶらと見て回りました。しばらくすると一つの素朴な器が目に留まりました。シンプルだけれど味のある飯碗です。しかも値段もものすごくお手頃です。二人のために飯碗を一個ずつと、醤油を入れられるような小皿を購入しました。私は大満足です。一方妻はどうやら別の窯元で見た四角い皿が気になっていたようです。家に帰って来てからも「あの四角い皿…」と言っています。今度は純粋に妻のために行ってみたいと思います。

 

ところで、わたしたちは、このような宝を土の器に納めています。この並外れて偉大な力が神のものであって、わたしたちから出たものでないことが明らかになるために。

 (コリントの信徒への手紙二 4:7)

 

在主 林 尚俊

 

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