2022年08月28日

 

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

「人知れぬ涙(Una furtiva lagrima)」という曲をご存じですか。イタリアのオペラ「愛の妙薬」のアリアの中で一番有名な曲ですが、男性主人公ネモリーノがテノールで歌うこの曲は、皆さんも一度は聴いたことがあるかもしれません。聴けば「あ~、この曲、聴いたことがある」とおっしゃるでしょう。特にルチアーノ・パヴァロッティがメトロポリタン劇場で歌ったものが大好きです。残念ながら今までこのオペラを観覧したことはありません。いつか機会があれば妻と行きたいと思っています。

 

この曲の歌詞はこんな内容です。単純で間抜けな貧しい農民である男性主人公ネモリーノが、自分とは身分の違う美人で頭が良くて少し高慢な富農の娘アディーナに片思いをしていました。ある日ネモリーノは、アディーナがこっそりと涙を流しているのを目撃します。そして彼女の流した涙から、自分が好かれていることを悟ったネモリーノの喜びの歌です。「ひそかな涙が彼女の目に浮かんでいた。……僕はこれ以上、何を求めよう。彼女は僕を愛しているのだ。……神様、僕は死んでもいい。これ以上、何も求めまい」という内容です。その時、実際に彼女が流した涙が喜びの涙だったのか、それとも悔し涙だったのかはすごく気にはなりますが、オペラ全体を見ていないのでわかりません。それを知るためにも必ず見に行きたいと思いました。

 

私たちの涙にはいくつかの種類ありますね。悲しい涙、喜びの涙、また感動して流す涙、もちろん悔しい時にも涙が出ますね。そして生理的な涙もあります。あくびをしたり、目に何かが入ったりした時の涙です。私も最近ちょっと涙もろくなって困ることもあります。私が子供の時、韓国では男は泣いてはならないと教えられていました。そのため何となく、涙を流す男の子は弱いと思うようになったのかもしれません。子供の時には必死で涙を我慢した記憶があります。泣かないために唇を強くかんだり、人々に自分の泣く姿を見せないためにトイレに逃げ込んだりした覚えがあります。もちろんこれは正しくない概念です。むしろ涙を流す人は自分の感情に忠実であるため、勇気のある人だと私は思います。しかしそれにしても私は、最近、悲しい時だけではなく、感動した時やうれしい時にもよく涙を流しています。最近、涙が出てきたのは、テレビを見ていた時のことです。ある男の人が動物園で自分の彼女にプロポーズをする場面でしたが、なぜか思わず涙が出てしまったのです。「人のプロポーズなのに、なんで私が?」とつぶやきながら泣いてしまいました。

 

よく考えると、どうやら私は神様の本当の愛を知ってから涙もろくなったようです。最近はそれに加えて年齢も関係あるとは思いますが、とにかくよく涙を流すんです。でも決して恥ずかしいとは思わなくなりました。なぜなら聖書を見るとイエス様もよく涙を流されたからです。また神様は私たちの涙をとても大事にしてくださいます。そして私たちの涙を必ず拭ってくださると約束されました。ですから泣きたい時は思い切り泣きましょう。主が必ず御手を伸ばしてくださいます。

 

彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。(ヨハネの黙示録 21:4)

 

在主 林 尚俊

 

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