2022年09月11日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

最近、私は自ら自分に課したあるミッションを少しずつ遂行しています。それは私個人の讃美歌にバリエーションを持たせることです。時間が許されるかぎり、いろいろな師匠のご指導のもと、新しい讃美歌を歌えるように練習しています。主にユ○チ○○ブ師匠にお世話になっています。

 

先日、水曜聖書研究祈祷会のみ言葉の内容に讃美歌第二編164番の歌詞がピッタリだと思い音源を探して聞いてみました。するとすごく懐かしいメロディではありませんか。讃美歌の日本語のタイトルは「勝利をのぞみ」で、曲の説明を見るとアメリカの民謡だそうです。英語のタイトルを見ると「ウイ・シャル・オーバーカム(We shall overcome)」とありました。もしかしたら、あの曲かも。そう思った私はさっそくユ○チ○○ブ師匠に尋ねて、英語バージョンを見つけました。するとやはり昔よく聞いて歌っていたあの曲でした。

 

私がこの曲を始めて知ったのは、アメリカの有名な牧師であり人権運動家であるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の最も有名な演説「We shall overcome」という演説を映像で見た時です。1963年、約20万人が参加したワシントン大行進という大規模な集会で、キング牧師が「We shall overcome」というタイトルの演説をしたあと、その場にいた大勢の群衆がこの曲を歌いながら行進する映像を見て大いに刺激を受けて、その後この曲を歌った覚えがあります。しかし私の記憶では讃美歌ではなかったのです。そこでまたいろいろ調べた結果、のちにポール・エーベルスという人が聖書箇所を引用して歌詞を変え讃美歌として歌っていたのが、日本語では1966年から採用されたことが分かりました。「We shall overcome」を直訳すると「我らは乗り越える」、あるいは「我々は必ず勝利する」などになります。そう言うと何だか自分たちの手や力によって勝利を勝ち取るように聞こえますが、意訳された日本語のタイトルである「勝利をのぞみ」は、「神様に望みを託す」という意味なので個人的に大満足しています。

 

この曲は人権運動のテーマ曲のように使われていましたが、そのスタートは黒人のゴスペルソングだったそうです。しかし作られた当初はあまり知られておらず、社会運動を通して有名になり人々に歌われるようになったあと、やがて教会の讃美歌として戻って来たということになります。さすがキリスト教の国であるアメリカならではの出来事だと思いました。

 

久しぶりに昔を思い出しながらギターを弾いて、新しい日本語の歌詞で、しかも讃美歌として歌うと、すべてが新しい歌として心に響きました。おそらく今の私たちの時代にもピッタリな曲だからでしょう。神様が私にこの曲を与えてくださったのは、ほぼ3年にわたってコロナという強敵と闘っている私たちに、力と望みを与えてくださるためではないでしょうか。知らないうちに私たち教会の中に広がる不安や否定的な思い、または無力感や疲労感によって、少しずつつぶされそうになっている私たちにとって、神様によるこのような勝利の約束は、どんな時よりも必要でしょう。

 

これらのことを話したのは、あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。」

(ヨハネによる福音書 16:33)

 

在主 林 尚俊

 

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