2022年11月20日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

あの時、そこを通らなければ…。あの時、その声が聞こえなければ…。あの時、目が合わなければ…。今から2か月くらい前の出来事ですが、日課を終えて夕方牧師館に帰るために今市商店街のアーケードを歩いていた時の話です。人影もまばらな静かな今市商店街のどこかから、「にゃあ」と猫の鳴き声らしき音が聞こえました。その声をたどって目をやると、小さな2匹の子猫の姿が見えました。店と店の間の雨水を流す溝の中からチャコールグレーのしま模様の小さな子猫たちが恐る恐る顔を出して鳴いていたのです。驚かさないようにゆっくり近づいて様子を観察しました。どうやら2匹の双子のような子猫が母猫を呼んでいるようです。さらに近づくと私の存在に気付いた子猫たちは溝の奥に隠れてしまいました。手のひらの大きさほどの生まれたばかりの子猫たちは、めっちゃかわいかったです。もう一度その姿が見たくて、しばらく待ってみましたが出てきません。できれば出てくるまでずっと待っていたかったのですが、おっちゃんが道端で長い間しゃがんでいると周りに怪しまれると思い、しかたなく帰ることにしました。

 

牧師館に戻ってからも、ずっと子猫たちのかわいい鳴き声と姿が頭から離れません。翌朝、教会へ行く道で、さっそく子猫がいた所をのぞき込んでみました。しかし残念ながら声もせず、姿も見当たりません。ガッカリです。その日の夜も日課を終えて、今度は妻と子猫がいた場所を通りました。すると、なんとかわいい子猫の鳴き声が聞こえるではありませんか。小さな姿で元気に母猫を呼んでいたので、安心して牧師館に帰ってきました。しかしその日を最後に二度と子猫の姿を見ることはできませんでした。とても心配しましたが、野良猫の保護活動をしている方に救助されたとのだろうと思うことにしました。しばらくの間、子猫のかわいい姿が頭から離れませんでした。

 

それがきっかけで、私はネットで野良猫の里親を募集しているサイトを確認するようになりました。もちろん2匹の子猫が心配だったからでもありますが、いつの間にか、もしかしたら出会いがあるかもしれないという気持ちが湧いてきました。しかしペットを迎え入れることは難しいと誰よりもよく理解していたので、ただ見ているだけです。そんなある日、聖日の日曜学校の教師会のあと、先生方の会話の中で、聞き慣れた猫の種類の名前が聞こえてきました。振り向くとO先生がご自宅で飼っているむぎ君の話をされていました。なんとむぎ君は私が気になっていたスコティッシュフォールドという種類だったのです。さっそくお写真を見せてもらいました。かわいい! その瞬間、今までかろうじて抑えていた猫を家族に迎え入れたいという心に再び火がついてしまいました。しかしいくら考えても今は難しいという現実は変わりません。いつか引退したらと思っております。いつかきっと素晴らしい出会いがあるでしょう。

 

主なる神は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれをどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった。

(創世記 2:19)

 

在主 林 尚俊

 

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