2023年4月9日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

私は楽譜が読めませんが一曲だけピアノで弾ける曲があります。とても簡単なメロディーで弾きやすく、しかも黒鍵だけで弾ける曲です。皆さんも一度はこの曲を聞いたことがあるかもしれません。韓国の民謡「アリラン」です。短調の悲しいメロディーで、歌詞も「アリラン アリラン アラリよ アリラン峠を越えて行く 私を捨てて行かれる方は 十里も行けずに足が痛む」というとても寂しい内容です。口伝の民謡であるため「アリラン」という言葉の本来の意味も不明です。昔は「アリラン峠」という地名があったそうですが、今は誰もその場所を知りません。この曲は愛する人と別れる時の悲しく寂しい気持ちを歌っている曲です。

 

なぜ私がいきなりアリランの話をしたかと言いますと、毎年3~4月になるとこの曲を心の中で歌うことが多いからです。皆さんも同じだと思いますが毎年この時期は寂しい別れが多い時期です。ですから別れのたびに心の中でこの曲を口ずさみます。もちろん歌詞の最後の部分のように「私を捨てて行かれる方は、十里も行けずに足が痛む」ということを願っているわけではありません。これは別れの寂しさを表すためのあくまでも比喩的な表現で、実際に病気になることを願っているわけではありませんからね。

この時期になると多くの人が新年度を迎えて新しい生活を始めます。ですから離れるとことはやむをえません。しかしどんな理由であっても、特に教会共同体の中での別れは本当に寂しいものです。今年も私たちの教会から何人かの若者たちが就職のために大阪を離れることになりました。もちろん新たな出発のために新しい地に旅立つ本人たちも心細くて寂しいとは思いますが、送る側の方がより寂しいかもしれません。特に牧師としては一人でも多くの人に、この森小路教会で信仰生活を共にしてほしいと思っているからです。しかし一方で、この別れは新しい出会いも意味します。ですから新たな地で新しい生活を始める一人一人が、くれぐれも元気でいてほしいと祈るばかりです。

 

このように私たちは別れと出会いを繰り返しながら人生を過ごしていますが、私たちにはいつまでも変わらない関係を保ってくださる神様がおられます。たとえ私たちの周りのすべての人がいなくなっても、神様は変わらず共におられ慰めてくださるのです。ですから私は新しい2023年度も、その神様を見あげながら歩みたいと思っています。もちろん今いらっしゃる皆さん一人一人との関係を大事にしながらです。なぜなら皆さんは、神様がご自分の愛を示すために送ってくださった神様からの大事なお便りだからです。というわけで皆さん、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

御顔を隠すことなく、怒ることなく/あなたの僕を退けないでください。あなたはわたしの助け。救いの神よ、わたしを離れないでください/見捨てないでください。父母はわたしを見捨てようとも/主は必ず、わたしを引き寄せてくださいます。

(詩編 27:9~10)

 

在主 林 尚俊

 

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