2023年4月16日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

先週の復活祭の礼拝で、私の子ども時代の復活祭の卵についてのお話しを少しだけしました。そのあと復活祭の卵にまつわるいろいろな記憶がよみがえってきたので、皆さんと分かち合いたいと思います。

 

この前もチラッと言いましたが、私の子ども時代は卵が高級品でしたから教会から卵をもらえる復活祭が大好きでした。私の頭の中では、しばらくの間、復活祭イコール卵の日でした。母教会には日曜学校の生徒がたくさんいて、復活祭の朝、日曜学校の礼拝が終わるとずらりと並びます。そして生徒たち一人に1個ずつ卵が配られました。おそらく学年ごとに分級のクラスで配られたと思います。小学科の低学年の時、当然ながら卵1個で満足しなかった私はある作戦を考えました。1個目の卵をもらったあとすぐ、着ていたジャンパーを脱いで並び直し2個目をゲットするという作戦です。作戦を遂行し2回目の順番がいよいよ回ってきました。ドキドキしながら先生に両手を差し出すと、先生は何も気づかなかったのか相変わらず優しい笑顔で「復活祭おめでとう」と言いながら卵をくれました。「やった! やっぱり俺様は天才だ」と自画自賛したのを覚えています。

 

おそらく変な自信がついてしまったのでしょう。私はもっと卵が欲しくなりました。そこで3個目を手にするためにもう一度、列に割り込んだのです。すぐに順番が回ってきました。私の犯行はより大胆になり変装することもなく堂々と挑みました。すると先生は「サンジュン君! 3個はちょっと多くない? おなかを壊すかもよ。今日は2個までにしてね」と言いながら、私の頭を優しくなでたのです。そうです。私の天才的な企画力と完璧な変装によって完全犯罪が成立したわけではありませんでした。先生の暗黙の許しだったのです。

 

当時の私は、恥ずかしいというよりバレたことが悔しかったのかもしれません。そこで諦めることなく更なる犯罪を企てました。「そうだ! 姉ちゃんの学年に行こう!」 姉の分級クラスに走って行くと、まだ卵を配っている最中でした。今度は変装より、長年ページェントに出演して培った私の演技力を生かすチャンスです。私はふだんから私のことをかわいがってくれていた姉の分級の担任の先生を見つけて前に立ちました。そして最大限あわれでかわいそうな顔をして、その先生を見つめました。すると先生は満面の笑みで私の手にそっと卵を握らせてくれたのです。「よっしゃー! これで3個ゲット! 僕の卵が一番多い!」 

 

その年の私の復活祭は、死に打ち勝ったイエス様のように喜びに満たされていました。絵の具やセロハン紙できれいに飾られた卵の殻を友達のおでこで割りながら、少年の私は勝利の味を満喫したのでした。「イエス様! 復活ありがとう」

 

イエスは言われた。「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。

(ヨハネによる福音書11:25)

 

在主

林 尚俊

 

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