2023年6月04日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

TANSTAAFL (タンスターフル)というアメリカの略語があります。“There ain't no such things as a free lunch”という文章の頭文字です。直訳すると「タダのランチなんてあるわけない」となります。これはアメリカ西部開拓時代の代表的な文化であるウエスタン・サルーンというアメリカ版居酒屋から生まれた言葉だそうです。当時ウエスタン・サルーンでは、1杯以上のお酒を注文した常連客に無料のランチを提供していました。無料ランチで出される多くの食べ物は塩分が高く、またたくさんのビールを注文することになったので、結果的にはランチはタダではなかったということから始まった格言のようなものです。辞書で調べると、日本語の「タダより高いものはない」とほぼ同じ意味であると書いてありますが、英語では「何も失わずに何かを得られることはない」という意味合いで使われているそうです。つまり何かを得るためには、それにふさわしい対価を払うべきだという意味で、特に経済学、科学、統計学、スポーツの分野でよく使われているそうです。

 

私はカナダにいた時、学校の先生方からこの言葉を初めて聞きました。そしてこの言葉の意味を知ってから気づいたのですが、先生たちはしばしばこの言葉を使いました。なぜなら特に語学の勉強をしている人は先生に「どうすれば早くしゃべれるようになるのか」という質問をよくするからです。その時、必ずと言っていいほど「タンスターフル」という答えが先生たちから返ってきました。もちろん他の勉強も努力、つまり対価は必要ですが、言葉が喋れるようになるためには教室での理論の勉強はもちろんのこと、実践での会話練習も必ず伴わないといけないので、倍の時間と努力が必要です。私の経験から考えると、ただ時間がたったから言葉をしゃべれるようになったという人は一人もいませんでした。

 

なぜ今日、この話を急にしたのかと言いますと、最近、私の身の回りに「タンスターフル」という言葉をもう一度考えさせる出来事が起こっているからです。最近の私の頭の中には「どうすればおなかの周りの脂肪を早く燃焼させられるか」という質問が毎日のように浮かんでいます。もちろん答えは「タンスターフル」。対価を払うべきであるとよく知っています。しかし一度崩れてしまった習慣はなかなか戻せないということも事実です。実のところ、結構長い間、まともな運動どころか散歩すらしていない状況です。ただ毎日のように頭の中で「タンスターフル」という言葉を呪文のように唱えているだけです。正直、おなか周りのサイズが大きくなるスピードから考えると、かなりヤバイ状況です。しかもこれからどんどん暑くなっていくので、さらに体を動かせない言い訳だけが増えていく一方ですから心配です。そろそろ本当に体を動かさないといけませんね。タンスターフル!

 

涙と共に種を蒔く人は/喜びの歌と共に刈り入れる。6種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は/束ねた穂を背負い/喜びの歌をうたいながら帰ってくる。(詩編 126:5~6)

 

在主

林 尚俊

 

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