2023年10月29日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

 

皆さんもご存じのように、牧師の休日は平日の月曜日です。そして平日に休むということは私にとってほぼメリットしかありません。休日の人気の観光スポットは、人混みで前に進むことすら難しいでしょうが、月曜日だとゆっくり楽しむことができます。その代表的な例が京都嵐山の竹林の小径に行った時です。休日だと竹の数より人の数の方が多いと言われている観光名所ですが、私たちが月曜日に行った時は、ほぼ誰もおらず人影が全く見えない竹林を背景にツーショットを撮ることができました。それだけではありません。行列のできる場所に行く時も、ほぼ並ぶことなく入ることができます。ですから月曜日にどこか出かけるたびに、私は牧師になってよかったとしみじみ思うのです。

 

ところが月曜日が休みのデメリットもあります。それは国立や公立の博物館や美術館などは、ほとんどの場合、月曜日が休館だということです。もちろん最近は木曜日が休館日のところもありますが、それはごくわずかです。ですから美術館や博物館に行くことが好きな私にとって、これは大きなデメリットです。どうしても観たいと思う展示会がある場合、「牧師は必ず月曜日は休むべきである」という一種の暗黙のルールを破ることがあります。先日の月曜日は全国連合長老会の用事があって休めなかったので、別の曜日に休むチャンスに巡り合えました。そしてちょうど大阪で江戸時代中期の京都を中心とした関西地域で活躍した絵師、長沢芦雪の生誕270周年記念特別展をやっているという情報を入手したので、昨年新しく開館した中之島美術館に行くことにしました。目当ては芦雪の代表作の中でも、最近、新たに注目を集めているかわいい作品です。特に「ゆるかわ」とも言われているワンちゃんたちの絵が見たかったのです。

 

話題になっているとはいえ、平日の午後のおかげか、そこまで混んではいませんでした。いよいよ中に入り、さまざまな素晴らしい作品の中に、そのワンちゃんたちを見つけました。群がって遊んでいる愛くるしいワンちゃんたちの姿を見ていると、自然とほほえみが出ます。専門家によるとモデルは紀州犬だそうです。そんな中で、特に私の目を引く一匹のワンちゃんがいました。それは何枚かの絵に登場していましたが、なぜかいつも背を向けて、首の周りが白くツキノワグマのような柄をしている子です。私が子どもの時に飼っていたワンちゃん(パンダリ)にそっくりだったし、どの絵にも後ろ姿しか描かれていなかったので、すごく気になったのです。それにはきっと何かの意図があるのかもしれないと思いました。妻も気になったようで、もしかしたら作家本人の姿を描いたのではないかと言っていました。確かに当時の絵師の世界では、彼は異端児とも言われていたほど画期的なスタイルだったので、孤独な自分の立場を表現したのかもしれません。帰りに、かわいいワンちゃんの絵ハガキを2枚買いました。今、私の部屋の机の上に飾ってあります。見るたびに口元が緩んでしまいます。

 

ここを去り、東に向かい、ヨルダンの東にあるケリトの川のほとりに身を隠せ。

その川の水を飲むがよい。わたしは烏に命じて、そこであなたを養わせる。(列王記上 17 :3~4) 

 

在主 林 尚俊

 

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