2024年09月29日

愛する皆さま

主の御名を心よりほめたたえます。

永遠に終わることがないかのように感じられていた長い夏が終わり、いよいよ本格的に秋を感じるようになりました。とは言え、これからはどんどん夜と昼の気温差が大きくなりますので、くれぐれも風邪をひかないように気をつけてください。

 

さて今日はちょっと寂しい話をしようと思います。皆さんもご存じのように先日、私たち森小路教会の母であったYE姉が神様の御もとに召されました。96歳の誕生日を迎えたばかりでした。わりと最近まで礼拝に出席されていたので、本当に短い間でしたが私もYE姉と良い交わりをすることが許されました。ですから言葉で表わせないほど寂しさを感じております。もちろん教会員の皆さんの中にはYE姉と何十年もの間、長い交わりを持たれた方もいらっしゃるでしょう。

 

教会員のインタビューをまとめた『信仰の軌跡』という冊子に記載されているYE姉のインタビューを見ると、YE姉はまさに森小路教会の歴史の一部でした。YE姉は森小路教会が今の今市商店街に移転する前の千林商店街の時代、森小路・千林伝道所の時代をよく知っておられる最後の世代です。また長年、森小路教会の牧師として奉仕をされていたN先生の伝道師時代をよく知っておられる最後の方でもありました。そして森小路教会だけでなく、私たちの姉妹教会とも言える香里園教会が伝道開拓を始めた時の最初のメンバーでもあられました。よく考えてみると、およそ80年という長い年月を教会の奉仕のために過ごされたことになります。それは神様と教会に対する愛の現れでしょう。森小路教会の牧師として本当に頭が下がります。

 

葬儀の時にもお話ししましたが、私が森小路教会の牧師として赴任した時は、コロナ禍という前代未聞の混乱の時期でした。特に私たち教会共同体にとってコロナは大きな妨げでした。何よりも集って礼拝をすることすらできない状態でした。信仰の先輩たちの話によりますと、戦時中に教会が焼けた後もどうにかして皆で集まって礼拝をささげていたということです。しかしコロナ禍では何度も聖日礼拝のために集うことを取りやめざるを得ませんでした。そしてそんなカオスがちょうど始まった時、私たち夫婦は大阪に来ました。そして最初の礼拝を何とかささげることができましたが、翌週の聖日からは礼拝堂でささげる礼拝を無期限で止めざるを得ない状況でした。牧師として、私は何とも言えない複雑な気持ちでいっぱいでした。まことに申し訳ありませんが、その日の私の礼拝の司式と説教は、その不安と緊張感がもろに現れていたことでしょう。そんな初めの礼拝を終えた後、YE姉はわざわざ私のところに来て優しく言ってくださいました。「先生の声がよく聞こえましたよ。だからちゃんと伝わりました」。今思うと、きっと他に褒めるところが見当たらなかったのでしょう。しかしその言葉は、私にとってとても大きな励ましになりました。少なくとも説教の言葉は伝わったということだったので、これからもこの森小路教会でどうにかやっていけると感じたのです。最後にもう一度、「先生の声がよく聞こえましたよ」とおっしゃる声が聞きたいです。Eお母さん、本当にありがとうございました。また御国で聞かせてくださいね。

 

胎児であったわたしをあなたの目は見ておられた。わたしの日々はあなたの書にすべて記されている/まだその一日も造られないうちから。(詩編139:16)

 

在主 林 尚俊

 

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